事故の加害者が外国人観光客だったら…
ミスターリード:
交通事故に遭うと、加害者の保険会社から事故被害者に対して慰謝料などの賠償金が支払われます。
もしも、事故の加害者が外国人観光客だった場合、通常の手続きと違いがあったり、支払いが制限されたりするようなことはあるのでしょうか?
弁護士法人みつ葉法律事務所平林真一弁護士:
外国人観光客は、レンタカーの契約時に賠償責任保険等に加入しているケースが多いです。
保険に加入していれば、相手方の保険会社に対して慰謝料請求や示談交渉行うことができます。
国内で起こった交通事故の損害賠償は、日本法にしたがって行われます。
加害者が外国人観光客だったとしてもこれは同じです。
そのため、相手が外国人観光客だからといって、慰謝料請求に大きな違いはありません。
もし、外国人観光客が事故直後に帰国したら…
ミスターリード:
レンタカーは料金の中に保険が含まれているのが一般的。
だから、同じように慰謝料請求できそうですね。
でも、訪日外国人は観光客なので、ずっと日本にいるわけではありません。
事故直後に帰国されても問題ないのでしょうか?
弁護士法人みつ葉法律事務所平林真一弁護士:
レンタカー契約時に保険に加入していれば、保険会社に請求できるので、外国人観光客の帰国は特に問題はありません。
しかし、外国人観光客が保険に未加入だと慰謝料を請求できないことが考えられます。
未加入の場合、加害者本人に対して慰謝料を請求しますが、帰国した外国人観光客と連絡がつかなくなる可能性があり、裁判を起こそうとしても、所在がわからず、訴状を送達できないなどの問題が起こると想定されます。
ミスターリード:
自分の自動車保険で人身傷害保険に加入している人は、慰謝料請求とは別に、自分の保険会社から保険金を受け取ることが可能です。
相手方に慰謝料を支払ってもらえない場合は、人身傷害保険の利用を検討したほうがいいかもしれませんね。
事故被害者が外国人観光客だったら…
ミスターリード:
自分が加害者のケースはどうでしょうか?
ケガをした事故被害者が外国人観光客だったということもあり得ます。
この場合、加入している自動車保険で対応してもらうことはできるのでしょうか?
弁護士法人みつ葉法律事務所平林真一弁護士:
自賠責保険、任意保険ともに交通事故の被害者が外国人観光客の場合も使用することできます。
支払い内容は変わりませんが、休業損害や逸失利益など、被害者の収入によって金額が決まる項目は、被害者の自国での収入を基準に算定するケースが多いです。
外国人観光客が加害者だった場合と同じように、日本国内で起きた交通事故は日本法にしたがって賠償請求が行われます。
また、交通事故を起こしたことに対する刑事処分、行政処分でも、被害者が外国人観光客だからといって、処分に違いはありません。
もし、外国人観光客が帰国後に裁判を起こしたら…
ミスターリード:
自分が加害者で被害者が外国人観光客の場合、相手から裁判を起こされる可能性もあると思います。
ケガをした外国人観光客が自国に戻って、裁判を起こしたらどうなるのでしょうか?
弁護士法人みつ葉法律事務所平林真一弁護士:
外国人観光客が自国で裁判を起こした場合、裁判のシステムは、その国の制度にしたがって行われます。
その国の裁判制度次第となりますが、事故は日本で起きているため、審理は日本の法律にしたがって行われることが考えられます。
ミスターリード:
お互いがきちんと保険に加入していれば、交通事故の相手が外国人観光客であっても、慰謝料請求や示談交渉は問題なく行うことができます。
言葉が通じず、事故直後はお互いにパニックになってしまうかもしれませんが、警察や保険会社への連絡など、事故現場での対応をきちんと行うことも大切ですね。