腕や脚の可動域制限、これだけは知っておきたい!
交通事故で腕や脚を骨折した際に多い「可動域制限」について、順番に説明いたします。
しかし、説明の中で後遺障害に関する専門的な話も出てくるため、「少し難しいな」と感じる人もいるかもしれません。
そこで、説明に入る前に腕や脚のケガに共通する「これだけは知っておきたい」という4つのポイントをご紹介します。
【予習】腕や脚の可動域制限
- 骨折が原因で関節の動作を事故以前のようにできなくなることがある
- 1を「可動域制限」と言い、症状に応じて後遺障害等級が認定される
- 症状を確認する際は、ケガをしていない側の腕や脚と比較をする
- 後遺障害等級や仕事への影響に応じて慰謝料と逸失利益を請求できる
肩・肘・手首の骨折で残る可動域制限
交通事故で多いケガのひとつに、腕(肩・肘・手首)の骨折があります(肩・肘・手首のことを上肢といいます)。
地面や車内に腕を打ちつけたり、転倒時に腕で体を支えようとしたりすることで上肢を骨折してしまいます。
また、脱臼や靱帯の損傷をしてしまう場合もあります。
上腕骨(肘から肩にかけた大きな骨)や手首にある細かな骨の骨折が多く見受けられ、入院して手術を行うケースも多いようです。

しかし、適切な治療を受けても必ず完治するわけではなく、腕に後遺症が残ってしまうことがあります。
骨折をした場合に残りやすい後遺症が、関節を交通事故以前と同じように動かせなくなる「可動域制限」です。
鎖骨や上腕骨などの骨折で肩や肘の可動域制限、手首の骨の骨折で手首の可動域制限の後遺症が残る可能性があります。
また、可動域制限は、骨折だけでなく脱臼や、靱帯、腱などを損傷した場合、神経損傷のまひでも後遺症として残る場合があります。
具体的には、骨折していない腕と同じように次の動作ができない場合は、可動域制限の可能性があります。
肩の可動域制限
- 肘を曲げずに腕を前から上にあげる動作
- 肘を曲げずに腕を横から上にあげる動作
- 肘を曲げずに腕を横から上にあげる動作
- 肘を90度に曲げた状態で腕を体の内側と外側に動かす動作
肘の可動域制限
- 腕を肩から水平に伸ばした状態で肘を曲げる動作
手首の可動域制限
- 手首を前と後ろに動かす動作
- 手首を内側と外側に動かす動作
可動域制限が残ってしまった場合は、後遺障害等級の申請をするようにしましょう。
可動域制限では、骨折をしていない腕と比べ、どの程度動かせないかによって、認定される後遺障害等級が変わります。
一覧にまとめましたのでご紹介します。
肩・肘・手首の後遺障害等級
後遺障害 第1級4号 |
両腕の肩・肘・手のすべてがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限され、指もまったく動かせない場合 |
---|---|
後遺障害 第5級6号 |
片腕の肩・肘・手のすべてがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限され、指もまったく動かせない場合 |
後遺障害 第6級6号 |
片腕の肩・肘・手のうち、2つがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限される場合 人工関節、人工骨頭を入れ、可動域が1/2以下に制限される場合 |
後遺障害 第8級6号 |
片腕の肩・肘・手のいずれかがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限される場合 人工関節、人工骨頭を入れ、可動域が1/2以下に制限される場合 |
後遺障害 第10級10号 |
片腕の肩・肘・手のいずれかの可動域が1/2以下に制限される場合 腕を内側または外側に回す動作が1/4以下に制限される場合 人工関節、人工骨頭を入れた場合 |
後遺障害 第12級6号 |
片腕の肩・肘・手のいずれかの可動域が3/4以下に制限される場合 腕を内側または外側に回す動作が1/2以下に制限される場合 |
上記のうち、後遺障害第1級と第5級は両腕または片腕の肩・肘・手を動かすことができず、生活に大きな支障をきたす状況です。
ほかの等級も決して軽微なものではありません。
肩の可動域が3/4に制限される第12級でも、荷物を持つなどの動作に支障が出るなど、日常生活や仕事に影響が出ることがあります。
股・膝・足首の骨折で残る可動域制限
交通事故では脚のケガも多く、転倒をした際に太ももや膝、すねを強打した際や、ほかの部位を打った際に強い衝撃が加わることで骨折をしてしまうことがあります。
レントゲンやCTなどの検査を受け、症状に応じて手術をするなどして治療を行います。
しかし、大腿骨(太もも)や脛骨(すね)の骨折などでは完治せず、関節の可動域制限の後遺症が残ってしまう可能性があります。

脚の場合は股・膝・足首を下肢と呼び、次の動作を骨折していないほうの脚と同じようにできないときは可動域制限の後遺障害等級が認定される可能性があります。
股の可動域制限
- 仰向けに寝た状態で膝を曲げて脚を上げる動作
- うつ伏せに寝た状態で膝を曲げずに脚を上げる動作
- 仰向けに寝た状態で脚を伸ばしたまま内側と外側に動かす動作
- 仰向けに寝た状態で膝を曲げて脚を上げ内側と外側に動かす動作
膝の可動域制限
- うつ伏せに寝た状態で膝を曲げて脚を上げる動作
足首の可動域制限
- 足首を前後に動かす動作
股・膝・足首の後遺障害等級
後遺障害 第1級6号 |
両脚の股・膝・足首のすべてがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限され、指もまったく動かせない場合 |
---|---|
後遺障害 第5級7号 |
片脚の股・膝・足首のすべてがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限され、指もまったく動かせない場合 |
後遺障害 第6級7号 |
片脚の股・膝・足首のうち、2つがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限される場合 人工関節、人工骨頭を入れ、可動域が1/2以下に制限される場合 |
後遺障害 第8級7号 |
片脚の股・膝・足首のいずれかがまったく動かない、または可動域が10%以下に制限される場合 人工関節、人工骨頭を入れ、可動域が1/2以下に制限される場合 |
後遺障害 第10級11号 |
片脚の股・膝・足首のいずれかの可動域が1/2以下に制限される場合 人工関節、人工骨頭を入れた場合 |
後遺障害 第12級7号 |
片脚の股・膝・足首のいずれかの可動域が3/4以下に制限される場合 |
両脚または片脚がほとんど動かせなくなることはもちろん、一関節の動作に制限が出るだけでも、日常生活や仕事への影響は大きいです。
立ち仕事の人は仕事を続けられなくなる可能性があります。
外出や移動の際も不自由に感じることが多くあります。
そのため、脚の可動域制限について後遺障害が認定されると、等級や仕事への影響に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。
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