実況見分とは?現場検証との違い
実況見分は、どのような状況で交通事故が発生したかを確認するために警察が行います。
当事者や目撃者から詳細を確認したり、事故車や事故現場の撮影を行ったりして事故の証拠を集めます。
交通事故直後の現場で、数名の警察官が何か距離の計測などをしている光景を見たことはありませんか?
あれが実況見分です。
似た言葉で現場検証がありますが、実況見分と現場検証でやることに違いはありません。
令状なしで行うのが実況見分、令状があるのが現場検証です。
実況見分を行い、実況見分調書を作成
警察は、実況見分で得た情報をもとに書面を作成します。
書面には、交通事故がいつ、どこで、どのようにして起こったかなど、事故当時の状況をまとめた「実況見分調書」と、事故の当事者や目撃者の証言などをまとめた「供述調書」があります。
ドライブレコーダーや防犯カメラに事故当時の状況が記録されていることもありますが、どちらも必ずあるものではありません。
そのため、実況見分調書や供述調書は、交通事故の証拠として刑事裁判や示談交渉などでも重要視されています。
実況見分調書に書かれていること
- 交通事故の日時や場所
- 立会人
- 天候
- 道路状況(道幅や見通し、信号、標識)
- 車両の損壊状況
- 事故状況の見取り図
など
実況見分の流れ
つぎに、実況見分が行われるタイミングや所要時間など流れを確認していきましょう。
一覧にしましたのでご覧ください。
実況見分の時間、回数、参加者など
詳細 | |
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いつ行う? | 事故当日、警察が事故現場に来た時。大きな事故は後日行うこともあります。 |
何回行う? | 通常は1回で終了。大きな事故だと複数回行うこともあります。 |
所要時間は? | 短い時は数十分、長い場合で2時間程度。1時間前後のことが多いです。 |
参加者は? | 交通事故の被害者と加害者、警察、目撃者。 |
すべての交通事故で行う? | 人身事故の場合のみ実況見分が行われます。 |
交通事故後、警察や救急車が現場に駆けつけ、負傷者の手当てや搬送が終わるとすぐ実況見分がはじまることが多いです。
幸いにも緊急を要するケガをしていない場合は、被害者もその場で実況見分に立ち会います。
この場合、事故直後の被害者と加害者が揉めることを避けるために、警察は当事者同士に距離を作って別々に話を聞きます。
救急車で搬送される場合は加害者と目撃者だけが立ち会うことになります。
また、実況見分が行われるのは人身事故だけで、物損事故の場合は作成されません。
時々、ケガをしていても物損扱いで事故後の処理が進むことがありますが、この場合、実況見分調書が作成されず後々にトラブルになる可能性があります。
事故当時の状況で言い争いになる不安がすこしでもあれば、物損事故から人身事故に変更し、実況見分調書を作成してもらいましょう。
交通事故の実況見分が大切な理由
冒頭で「実況見分の内容で最終的に受け取る慰謝料が変わってしまうこともある」とお伝えしました。
その理由は、示談交渉で過失割合を決める際に、実況見分調書の内容を参考にするからです。
過失割合は、受け取る慰謝料の金額に影響します。
実況見分調書が自分に不利な内容で作成されていると、本来よりも過失が重くなり、受け取る慰謝料が少なくなるおそれがあります。
「実況見分調書にはこう書いてあるけど、実際は違った」と示談交渉で主張しても、かんたんには認められません。
警察が作成した書類ですので信用度が高く、よほどの証拠がなければ覆すのは難しいでしょう。
示談金で損をしないためには、正しい実況見分調書を作成してもらうことが大切です。
実況見分で事故被害者が気をつけること

では、警察に正しい実況見分調書を作成してもらうにはどうすればいいのでしょうか?
事故被害者が実況見分で気をつけることとして、4つのポイントをご紹介します。
覚えていることを細かく話しましょう
事故当時の状況を警察に伝える際は、覚えていることを細かく伝えましょう。
確実なものははっきりと、自信を持って言うことが大事。
たとえば、右折車との事故で、相手の右折の合図が明らかに遅れていた場合、「ウインカーを出すのが遅かったかもしれません」よりも「ウインカーを出すのが遅かったです」のほうが良いでしょう。
自分が「〇〇だったかもしれない」、「〇〇のような気もします」と曖昧で、相手が「確実に〇〇でした」と発言していたら、警察は相手の発言のほうが合っていると判断する可能性がありますので気をつけましょう。
嘘はダメ。不利なことでも正直に
当然ですが、嘘の発言をしてはいけません。
警察は捜査のプロですから、嘘の証言をしてもあとでわかってしまう可能性が高いです。
「誤魔化せるだろう」といった考えは持たないでください。
嘘だと判断されると印象が悪くなり、その後正しいことを言っても信憑性のない発言となってしまうかもしれません。
勘違いをしていた時は、後から「間違えて伝えてしまいました」と素直に訂正しましょう。
相手に対して感情的にならない
もらい事故であったり、危険な事故にあったりしたら相手に対して怒りの気持ちを抱くこともあるでしょう。
お気持ちはわかりますが、感情的にならないようにしましょう。
感情的になると事故当時の状況を正確に伝えられなくなる可能性や、大事なことを伝え忘れてしまう可能性があります。
気持ちを抑えて、冷静に対応することが大切です。
救急車で搬送された時は、その後が大事
救急車で搬送され、「後日実況見分が行われることになった」、「事故直後の実況見分に立ち会えなかった」という被害者の方は、その後の対応が大事です。
まず、後日に実況見分が行われる場合、警察から立ち会い要請の連絡が来たら協力しましょう。
自分が立ち会わず相手のみが立ち会うと、相手の発言をもとに相手に好都合の実況見分調書が作成される可能性があります。
また、事故直後の実況見分に立ち会えなかった場合は、警察から話を聞かれる機会がありますので、その際に覚えていることをきちんと伝えましょう。
Mr.リードからあなたへ
実況見分では、当事者がお互いに自分の立場で事故当時の状況を振り返るため、主張が食い違うことは多いです。
だからこそ、覚えていることは自信を持ってはっきり伝えることが大事ですよ。
交通事故後は、この後も初めての対応がたくさんあります。
わからないことは、ミスターリードが発信している情報や、専門家に相談できる交通事故診断をご活用くださいね。
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