日弁連交通事故相談センターとは?
「公益財団法人日弁連交通事故相談センター」は、日本弁護士連合会によって昭和42年に設立されたADR機関です。
センターの弁護士が事故被害に関する法律相談に対応し、示談あっ旋では事故被害者と加害者の間に入り、解決を図ります。
人身事故のほか、物損事故でも利用できる場合があります。
交通事故に遭う前までは馴染みがないかもしれませんが、年間3万件以上の相談実績があり、安心して相談できる機関です。

相談も示談あっ旋も無料!
日弁連交通事故相談センターは、電話相談および面接相談、示談あっ旋や審査といった一連の対応を無料で行ってくれます(電話相談の通話料は有料です)。
自分で弁護士に依頼した場合は弁護士費用が発生しますが、日弁連交通事故相談センターは示談あっ旋も無料で行ってくれるため、賠償金が増額する見込みが低い場合や弁護士費用が用意できない場合などでも利用しやすいのが特徴です。
相談所は47都道府県に計157ヶ所
日弁連交通事故相談センターは、各都道府県の弁護士会館をはじめ、全国157ヶ所の相談窓口があります。
東京都内なら霞ヶ関にある本部相談所など31拠点、大阪はなんば相談所をはじめ7拠点あるため訪問の負担が小さく、相談しやすい環境になっています。
日弁連交通事故相談センターのメリットと利用の流れ
交通事故の示談交渉がまとまらない、直接弁護士に依頼してもメリットが少ない、このような悩みがあるときは日弁連交通事故相談センターの利用を検討しましょう。
示談あっ旋を受けることで適正な賠償金額での示談成立が期待できます。
利用するメリットについて詳しくは、日弁連交通事故相談センターが制作した動画をご参考ください。
では、どのような流れで手続きを進めていけばいいのでしょうか?
賠償金請求の開始から、日弁連交通事故相談センターを利用して示談するまでの流れをまとめました。
相談、あっ旋、審査でのポイントも合わせてご説明いたします。

1.日弁連交通事故相談センターに相談
法律相談には、電話相談と、全国の相談所での面接相談があります。
相談は原則として5回まで可能です。
面接相談は、全国157の相談所で行われていますが、高次脳機能障害に関する相談は東京、大阪、名古屋、福岡など全国7ヶ所の相談所に限られています。
2.示談あっ旋
無料相談の際に弁護士が「あっ旋が必要」と判断すると、事故被害者は示談あっ旋を申し込むことができます。
申込みの際は、「交通事故証明書」や賠償金の書面、診断書など、多くの書類が必要となります。
日弁連交通事故相談センターのWebサイト内にある『「示談あっ旋」事前提出書類一覧』を確認しながら用意しましょう。
申込みが受理され、相手方が同意すると示談あっ旋が開始されます。
あっ旋は最大で3回まで受けることができ、1回目のあっ旋は、申込みから3〜4週間後に行われることが多いようです。
示談あっ旋では、センターの担当弁護士と事故被害者と加害者(保険会社)で話し合いをしながら示談を目指していきます。
1件あたり平均1.65回のあっ旋が行われており、82.83%という高確率で示談が成立しているそうです。
3.審査
示談あっ旋が不成立に終わった場合は、その後の選択肢には、裁判で争う、日弁連交通事故相談センターで審査を受けるなどが挙げられます。
ただし、審査を受けられるのは、全労済の「マイカー共済」をはじめ、センターで決められている共済9社が相手方だったときに限られます。
相手方が損害保険会社だと審査を受けることはできませんので、示談できなければ裁判になると理解した上で示談あっ旋を対応するようにしましょう。
交通事故紛争処理センターとは何が違う?
交通事故のADR機関は日弁連交通事故相談センターだけではありません。
よく比較されるADR機関で交通事故紛争処理センターがあります。
この2つの機関は、相談回数や手続きの流れなどに異なる点があります。
1.費用、2.法律相談、3.あっ旋、4.審査、5.評判の5項目で両センターを比べ、どちらが利用しやすいか確認してみましょう。
1.費用。相談や審査はどちらも無料!
無料で法律相談やあっ旋を利用できる点はどちらも同じ。
費用がかからない点は共通のメリットです。
2.相談。日弁連交通事故相談センターが相談しやすい?
日弁連交通事故相談センターは電話相談と面接相談、交通事故紛争処理センターは面接相談を無料で実施しています。
日弁連交通事故相談センターのみ電話相談を行っています(1回10分程度、平日の10時〜16時30分までと時間は限られます)。
面談相談を比較しても、日弁連交通事故相談センターが全国157ヶ所の相談所で実施しているのに対し、交通事故紛争処理センターは全国11ヶ所。
日弁連交通事故相談センターの方が相談に行く手間は少なそうです。
また、日弁連交通事故相談センターのみ事故直後や治療中の法律相談にも対応しています。
以上のことから、相談環境は日弁連交通事故相談センターのほうが充実しているといえるでしょう。
3.あっ旋。示談あっ旋と和解あっ旋の違い
あっ旋をしてくれる点はどちらも同じですが、日弁連交通事故相談センターで行うのは示談あっ旋、交通事故紛争処理センターは和解あっ旋です。
示談あっ旋は、事故被害者と加害者(保険会社)、担当弁護士で話し合いをしながら解決を目指していきます。
いっぽうで和解あっ旋は、担当弁護士が事故被害者と加害者(保険会社)、から話を聞き、和解のためのあっ旋案を提示することで解決を図ります。
どちらの方法が良いかは、事故被害者それぞれの事情によって異なりそうですね。

4.審査。交通事故紛争処理センターだけ?
あっ旋で解決できなかった場合に、審査を申し立てることができる点は同じです。
ただし、先ほどご説明したように、日弁連交通事故相談センターで審査を受けられるのは、相手方が共済9社だった場合のみ。
いっぽうで交通事故紛争処理センターは、相手方が損害保険会社の場合でも審査の申立てが可能です。
相手方と主張に大きなズレがあり、あっ旋では解決しないことも想定されるなら、交通事故紛争処理センターのほうが合っているかもしれません。

5.評判。利用者に好評なのはどっち?
評判は、それぞれのWebサイトに掲載されている利用者のアンケート結果から確認しましょう。
日弁連交通事故相談センターの満足度は91%で、交通事故紛争処理センターは示談金の結果に「妥当」または「許容範囲」と回答した人が約92%とのことです。
どちらも利用者の大半が結果に満足していることがわかります。
Twitterの投稿を確認しても、悪い口コミはほとんど確認できませんでした。
以上から、まずは気軽に相談したいという人には日弁連交通事故相談センターをおすすめします。
いっぽうで、「裁判はしたくない」というお気持ちが強い方は、交通事故紛争処理センターのほうが良いかもしれません。
交通事故紛争処理センターについて詳しくは、「交通事故紛争処理センターの和解あっ旋で解決。デメリットはないの?」でご説明しています。
Mr.リードからあなたへ
日弁連交通事故相談センターの利用者は年間35,000人以上(平成30年度実績)もおり、多くの事故被害者の方が示談できています。
いっぽうで、「後遺障害申請を依頼できない」、「事故被害者の味方として示談交渉してくれるわけではない」といった事情もあり、自分で弁護士を選んだほうが良いケースもあります。
弁護士に依頼するか、ADR機関を利用するか、どの解決方法が合っているか、一度話を聞いて、判断していきましょう。
弁護士などの専門家への相談は、ミスターリードの交通事故診断から行えますので、お気軽にご利用くださいね。
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