サンキュー事故とは?
サンキュー事故は右直事故のひとつで、交差点で直進車が対向車に道を譲り、対向車が右折をしたところに別の直進車が交差点に進入してきて発生する衝突事故です。
道を譲った直進車によって死角ができ、お互いに気がつくのが遅くなったことや、右折側が「譲ってもらったから、早く右折しよう」という気持ちから急いで右折したことなどが原因で発生します。
道を譲った側はもちろん、衝突した2台に交通違反や明らかな不注意がなかったとしても起こる可能性がある事故です。

バイク、原付バイクなど小さな車両は上のイラストのように右折車から見て譲った直進車で隠れやすいです。
直進車が自転車のこともあります。
また、渋滞中に渋滞の車両間を右折した対向車と、渋滞の端をすり抜けしてきたバイクとの衝突事故もサンキュー事故と言われることがあります。
サンキュー事故の責任。譲った側に過失はつく?
サンキュー事故では、道を譲った直進車、道を譲られた右折車、飛び出してきた直進車の3台が事故に関わっていますが、道を譲った側は事故の責任や過失割合、慰謝料請求などに基本的には関係しません。
「譲った側が後続車の状況を確認していれば、サンキュー事故は起こらなかった」といえるケースもあるかもしれませんが、それだけで譲った側の責任や過失は問えないでしょう。
あくまで道を譲られた右折車と飛び出してきた直進車が事故の当事者となります。
サンキュー事故の過失割合
サンキュー事故での右折車と直進車の過失割合を確認していきましょう。
2台とも走行中に事故が発生しているため、双方に過失はつき、右折車の過失がより重くなる傾向があります。
車対車、車対バイクのサンキュー事故の過失割合の一例をご紹介します。
サンキュー事故の過失割合の一例
事故の詳細 | 過失割合 |
---|---|
どちらも青信号。直進車、右折車ともに車の場合 | 直進車20:右折車80 |
どちらも青信号。直進車がバイク、右折車が車の場合 | 直進車15:右折車85 |
信号のない交差点で、直進車、右折車ともに車の場合 | 直進車20:右折車80 |
信号のない交差点で、直進車がバイク、右折車が車の場合 | 直進車15:右折車85 |
渋滞の車両間を右折した車と渋滞の端をすり抜けしたバイクの場合 | 直進車30:右折車70 |
このように、お互いに青信号の場合や信号のない交差点の場合は、双方に過失が付き、右折車のほうが重くなります。
右折車側は、道を譲った車で死角ができていたことが理由で右折車の過失割合が軽減されることは基本的にはありません。
車対バイクでは、車対車の場合より5%ほど直進車の過失が軽くなる傾向があり、直進車が自転車の場合は、直進車の過失がさらに軽くなる可能性があります。
また、交差点での右直事故で過失割合の争点になりやすいのが信号の色です。
直進車の信号が交差点の進入前、進入直後に変わっていた場合、次のように直進車の過失のほうが重くなることもあるからです。
事故の詳細 | 過失割合 |
---|---|
直進車(車)は黄で交差点に進入、右折車(車)は青で進入後、黄に変わった場合 | 直進車70:右折車30 |
直進車(バイク)は黄で交差点に進入、右折車(車)は青で進入後、黄に変わった場合 | 直進車60:右折車40 |
このように信号のわずかな違いで加害者と被害者の立場が逆転する可能性があります。
事故当時の信号は当事者同士で主張が異なるケースも多く、自分の主張を相手保険会社に認めてもらうためにはドライブレコーダーや防犯カメラなどの映像が必要になることもあります。
そのほか、右折車の減速なし、直進車のスピード違反などでも過失割合が変わりますので、相手保険会社が主張する過失割合納得できなければ、弁護士などの専門家に相談して示談交渉を行いましょう。
慰謝料請求のポイントは?
サンキュー事故での慰謝料請求では、やはり過失割合が重要です。
過失割合が異なると、最終的に受け取る慰謝料の金額も変わってきますので、相手保険会社が提示してきた過失割合を確認し、おかしな点はないか、必要以上の過失が付いていないか確認する必要があります。
また、バイクや原付バイク、自転車でサンキュー事故に巻き込まれた場合は、骨折などの大ケガを負うケースがあります。
入院、通院やリハビリを医師の指示に従って行い、症状固定(または完治)したら相場の入通院慰謝料をもらえるように示談交渉しましょう。
後遺症が残った場合には、後遺障害等級の認定を受けて後遺障害慰謝料と逸失利益の請求も行ってください。
慰謝料の請求や後遺障害等級の申請については、『慰謝料の相場』や『後遺障害(後遺症)の申請方法と申請前に確認すること』で詳しくご説明しています。
Mr.リードからあなたへ
道を譲ってもらった時や同じ進行方向の車が停車した時などは、「その先から車が飛び出してくるかもしれない」と、先に起こり得る危険を頭に入れて運転することが事故の回避につながります。
サンキュー事故の当事者となり、過失割合や慰謝料に納得できない時は、弁護士などの専門家に相談をして示談交渉を進めましょう。
ミスターリードの交通事故診断からも専門家に相談できます。
ぜひ、ご活用ください。
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