交通事故コラム

自賠責保険で慰謝料請求。賠償金額の計算や請求方法は?

交通事故で治療費や慰謝料を請求する際は、加害者の自賠責保険または任意保険に対して行います。自賠責保険に請求するのは、どのような時なのでしょうか?また、自賠責保険に請求する場合、事故被害者はどのようなやり方で請求すればいいのでしょうか?自賠責保険での損害賠償請求における慰謝料の計算、請求の方法などをまとめました。

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自賠責保険に請求するのはどのような時?

任意保険への加入率は約74%とされています。

そのため、自賠責保険よりも任意保険から賠償金を受け取るケースのほうが多いでしょう。

加害者が任意保険に加入していれば、「一括請求」という方法で、自賠責保険分と任意保険分の賠償金をまとめて支払ってくれるのが一般的です。

しかし、次のようなケースでは、「任意保険に請求できない」または、「自賠責保険に請求するとメリットがある」ことがあります。

自賠責保険に請求することがあるケース

  • 加害者が無保険のケース
  • 任意保険との示談交渉が長期化するケース
  • 自分の過失が大きいケース

加害者が任意保険に未加入の場合、賠償金は自賠責保険に請求することになります。

任意保険会社との示談交渉が長期化し、生活費が困窮するときなどは、自賠責保険分の賠償金を先に受け取ったり、「仮渡金」を自賠責保険に請求したりする方法もあります。

また、自分の過失割合が大きい場合は、過失相殺の関係で任意保険より自賠責保険に請求したほうが賠償金を多く受け取れる場合があります(コラムの後半で詳しくご説明します)。

自賠責保険で支払われる賠償金の限度額

自賠責保険では、支払われる賠償金に限度額があります。

限度額は、「傷害による損害」、「後遺障害による損害」、「死亡による損害」でそれぞれ次のように定められており、原則として限度額を超える賠償金が支払われることはありません。

自賠責保険の賠償金の限度額

傷害に対する損害 120万円
後遺障害に対する損害 後遺障害等級ごとに75万円から4000万円
死亡事故に対する損害 3000万円

傷害に対する損害には、治療費や休業損害、入通院慰謝料、後遺障害に対する損害には、後遺障害慰謝料と逸失利益が含まれます。

後遺障害等級の認定を受けた場合は、傷害に対する損害と、後遺障害に対する損害を受け取ることになります。

損害が限度額以上の場合でも、賠償金は限度額までしか支払われません。

自賠責保険の限度額を超過した際の賠償金については、「交通事故の加害者が任意保険に加入していなかったら慰謝料はどうなる?」をご覧ください。

自賠責保険の休業損害や慰謝料の計算方法

自賠責保険では治療費は実費が支払われますが、休業損害や入通院慰謝料は決められた計算式を用いて金額を算出します。

請求できる主な項目の計算方法をまとめました。

休業損害や慰謝料などの計算式

治療費 実費
休業損害 1日あたり5,700円×休業日数
入通院慰謝料 1日あたり4,200円×治療期間または実治療日数×2
入院雑費 入院1日あたり1,100円
入院看護費 看護1日あたり4,100円
通院交通費 実費

このほか、義肢や松葉杖などの費用、書類代なども限度額の範囲内であれば請求することができます。

後遺障害慰謝料、逸失利益の金額

後遺障害に対する損害は、先ほどの表に記載されているように、後遺障害等級ごとに75万円から4000万円と決まっています。

後遺障害第1級から第14級の金額をご紹介します。

後遺障害等級ごとの補償金額

後遺障害等級 限度額 後遺障害慰謝料
第1級
(介護を要する)
4000万円 1600万円
第2級
(介護を要する)
3000万円 1163万円
第1級 3000万円 1100万円
第2級 2590万円 958万円
第3級 2219万円 829万円
第4級 1889万円 712万円
第5級 1574万円 599万円
第6級 1296万円 498万円
第7級 1051万円 409万円
第8級 819万円 324万円
第9級 616万円 245万円
第10級 461万円 187万円
第11級 331万円 135万円
第12級 224万円 93万円
第13級 139万円 57万円
第14級 75万円 32万円

限度額とは別に、後遺障害慰謝料の金額が定められています。

これは、後遺障害慰謝料に対する限度額です。

第14級の場合だと限度額は75万円ですが、後遺障害慰謝料では32万円のため、逸失利益がない場合、後遺障害に対する損害は32万円までしか支払われません。

死亡事故の賠償金や慰謝料

自賠責保険における死亡事故の賠償金の上限は3000万円です。

この3000万円には、葬儀費用や休業損害、逸失利益、慰謝料などが含まれます。

慰謝料は、被害者、遺族で次のように定められています。

死亡慰謝料の金額

被害者本人 350万円
被害者に被扶養者がいない場合 被害者に被扶養者がいる場合
請求権者が1人の場合 550万円 750万円
請求権者が2人の場合 650万円 850万円
請求権者が3人以上の場合 750万円 950万円
  • 死亡慰謝料の額は、加害者が賠償すべき慰謝料の総額と考えられて裁判実務が運用されています。遺族固有の慰謝料の請求が行われる場合には、遺族固有の慰謝料と死亡した本人に対する慰謝料の額の合計額が前記の死亡慰謝料の総額となります。原告(遺族)が多数となることによって慰謝料総額が増えるというわけではないのが原則です。

自賠責保険への請求方法は?

自賠責保険から賠償金を受け取る場合、請求方法は2つあります。

被害者が直接、自賠責保険(保険会社)に請求する方法(被害者請求)と、被害者が加害者から賠償金を受け取り、その後に加害者が自賠責保険に支払った分を請求する方法(加害者請求)です。

下記の図のように、加害者請求、被害者請求ともに賠償金は保険会社から支払われますが、任意保険とは異なり、保険会社と示談交渉をして慰謝料が増額することはありません。

保険会社はやり取りの窓口であり、賠償金の金額は「損害保険料率算出機構」という自賠責保険の損害調査などを行う機関が算出します。

賠償金を請求する流れと必要な書類

  1. 治療の終了後、必要な書類を準備する
  2. 加害者の自賠責保険の会社に提出する
  3. 損害保険料率算出機構が調査
  4. 賠償金額の確定、支払い

上記は、被害者請求で自賠責保険に賠償金の請求をした場合の流れです。

「治療の終了後、必要な書類を準備する」の負担が大きく、「自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書」、「交通事故証明書」、「事故発生状況報告書」など請求に必要な書類がとても多く、自賠責保険会社、病院など、受け取り先も複数あります。

提出書類について詳しくは、国土交通省のホームページをご確認ください。

被害者請求を行うメリットは?

被害者請求だと、手間が増えて面倒に思えるかもしれません。

しかし、自賠責保険で賠償金を請求する場合、被害者請求を行うケースが多くなっています。

その理由は次の3つです。

加害者に賠償金を支払うお金がない

加害者請求では、まず加害者が被害者に賠償金を支払いますが、数十万円から100万円以上のお金を用意して支払うのは簡単ではありません。

加害者が被害者に賠償金を支払えなかったり、支払いでトラブルになったりするリスクがあるため、被害者請求で賠償金を受け取ったほうが良いのです。

被害者請求は加害者の同意がなくても行うことができます。

後遺障害等級の等級認定も行う

後遺障害慰謝料と逸失利益を受け取るには、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

加害者が任意保険に加入していれば、加害者の保険会社が申請を行う事前認定という方法もあります。

しかし、加害者が無保険の場合は、後遺障害の等級認定は被害者請求で行います。

そのため、等級認定も賠償金の受け取りも被害者請求で行ったほうがスムーズです。

ただし、後遺障害の等級認定には交通事故や後遺障害、医療の知識を必要としますので、専門家に相談して行うのがおすすめです。

自分の過失が大きい時にメリットがある

このコラムの序盤に、「自分の過失が大きい場合は、過失相殺の関係で任意保険よりも自賠責保険に請求したほうが賠償金を多く受け取れる場合がある」とお伝えしていました。

この理由は、自賠責保険と任意保険での過失相殺の仕組みの違いにあります。

任意保険の場合、10%なら10%減額、50%なら50%減額といったように、自分の過失の分だけ賠償金額から差し引かれます。

しかし、自賠責保険では、過失が70%未満の場合では過失相殺は行われません。

また、過失が70%以上ある場合でも、過失分が差し引かれるのではなく、下記の割合で減額が行われます。

そのため、被害者の過失が大きいときは、任意保険から賠償金を受け取るより、被害者請求で自賠責保険分から支払いを受けたほうが賠償金を多く受け取れる可能性があります。

自賠責保険での過失相殺による減額

傷害の場合
被害者の過失割合 減額割合
70%未満 減額なし
70%以上100%未満 20%
後遺障害または死亡の場合
被害者の過失割合 減額割合
70%未満 減額なし
70%以上80%未満 20%
80%以上90%未満 30%
90%以上100%未満 50%

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