変形障害はどのような後遺障害?
変形障害とは、その名前の通り、骨折によって骨の形が変わり、見た目で明らかに変形がわかる場合に認められる後遺障害です。
通常、骨折した骨はくっついて元に戻ります。
しかし、骨のズレが大きい場合などは、時間が経っても骨がくっつかないことや、曲がったままくっつくことなどがあります。
変形障害は、これが目視で明らかに確認できる状態のことです。
鎖骨や肋骨など、胸から肩にある骨は、骨折をすると変形障害が残るおそれがあります。
- ミスターリードの
かんたん解説 - 骨がくっつかない、曲がったままになることを医療の言葉では「癒合不全」と言います。 また、変形障害の「目視で明らかに確認できる状態」とは、骨の部分の皮膚が盛り上がっている場合などが当てはまります。
鎖骨や肋骨の骨折はどのような交通事故で起こる?
交通事故による鎖骨や肋骨の骨折は、骨に直接強い衝撃が加わって起こるケースと、ほかの部位を打ち付けたことで起こるケースがあります。
胸やお腹の骨を骨折する恐れがある交通事故を一度整理してみましょう。
変形障害のもとになる骨折の恐れがある交通事故の一例
移動手段 | 事故の詳細 | 骨折の箇所 |
---|---|---|
自動車を運転中 | ハンドルに体を強打 (ハンドル外傷) |
肋骨、胸骨など |
バイク、自転車、徒歩 | 地面に体を強打 | 鎖骨、骨盤骨、椎骨など |
地面に体を強打した場合は、腕や肘を強打したことで鎖骨を、尻もちをついたことで骨盤骨や椎骨を骨折するなど、間接的な衝撃で骨折をしてしまうこともあります。
胸やお腹の骨の骨折では、保存療法で治療を行うケースが多く、鎖骨や肋骨の場合、バンドなどで骨を固定して動かなくさせ、自然治癒による回復を図ります。
鎖骨や肋骨の骨折で認められる後遺障害は?
骨折が原因で骨の変形が残ってしまった場合は、後遺障害等級の申請を行い、後遺障害等級の認定を受けるようにしましょう。
骨折による変形が残ってしまった場合の後遺障害として下記の等級が定められています。
鎖骨や肋骨の変形障害で認定される後遺障害等級はこちら
等級 | 後遺障害の詳細 |
---|---|
第12級5号 | 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨に著しい変形を残すもの |
- ※「後遺障害等級表」を参照。
- ※脊柱や長管骨の変形の場合は上記とは別の後遺障害等級が認定されます。
鎖骨や肋骨などの変形障害は、後遺障害第12級5号が認定されます。
「骨の形は変わったけれど、痛みはない」という人もいるかもしれません。
変形障害は、痛みが残っていない場合でも後遺障害として認定される可能性があります。
ただし、鎖骨や肋骨が変形していれば、必ず後遺障害等級が認定されるわけではありません。
骨の変形が後遺障害として認められる条件を確認していきましょう。
後遺障害等級の認定を受けるためのポイント!
後遺障害12級5号の認定基準は、「鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨に著しい変形を残すもの」とされています。
「著しい変形」とは、どういうことなのでしょうか?
ここでいう著しい変形とは、冒頭に記載した見た目で明らかに変形がわかることが当てはまります。
変形した患部を直に見たり、画像で確認したりする際に、変形が明らかにわかることを変形箇所の画像やレントゲンなどの画像検査で証明する必要があります。
なお、レントゲンで変形を確認できても、直に見て変形がわからない場合は、後遺障害12級5号の認定を受けることはできません。
また、鎖骨と肋骨の両方が変形した場合はそれぞれ後遺障害等級の申請ができ、ともに後遺障害12級と認められれば併合11級が認定されます。
しかし、複数の肋骨を骨折した場合、申請できる後遺障害等級はひとつのみです。
変形障害で支払われる慰謝料の相場はいくら?
骨の変形が後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と逸失利益を加害者の保険会社に請求することができます。
後遺障害慰謝料は、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準という3つの算出方法があります。
ここでは裁判基準の慰謝料の金額と、裁判基準をもとに示談交渉をした際の相場をご紹介します。
変形障害の後遺障害慰謝料はこちら
等級 | 裁判基準 | 示談交渉をした場合の慰謝料の相場 |
---|---|---|
第12級5号 | 290万円 | 230万円 |
- ※裁判基準は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を参照。
- ※相場はミスターリードが独自に算出したものです。
変形障害の示談交渉は逸失利益でトラブルになる?

逸失利益は、後遺障害によって起こる将来の収入への影響を補償するお金です。
後遺障害等級ごとに定められている労働能力喪失率などを用いて算出します。
しかし、変形障害の場合は、等級が同じほかの後遺障害に比べ、低額の逸失利益が提示されることが多く、中には支払いが認められないこともあると言われています。
骨の変形は外見の変化でしかないから、「骨の変形は仕事に影響しない」と保険会社は主張するようです。
しかし、実際にはそうとは限りません。
鎖骨や肋骨は、痛みが残ることもありますし、鎖骨は、肩の可動域が制限されてしまうこともあります。
変形障害以外の後遺症も残っていると、仕事にも影響が出てきます。
そのような場合に、この保険会社の主張を認めると適正な賠償金を受け取ることはできません。
「患部に痛みがあるため、こういった作業をするのが難しい」など、具体的な支障を主張していくことが示談交渉では大切です。
Mr.リードからあなたへ
当事者以外だと、骨の形が変わっただけと感じるかもしれませんが、変形障害も後遺障害。痛みを伴い辛い思いをしている人、体の形が変わってしまったことにショックを受ける人もいらっしゃると思います。
適切な賠償金が支払われるべきです。変形障害による慰謝料や後遺障害等級についての不明点は、弁護士に気軽に聞いてみましょう。
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