フリーランスの場合「休業損害」の請求はどうなる?
個人事業主の方が交通事故被害に遭った場合でも、「治療費」「休業損害」「入通院慰謝料」などの賠償金を加害者の保険会社に対して請求することができます。
「治療費」「入通院慰謝料」については、そのほかの職業の人と同じように計算していくことになります。
一方で「休業損害」については、個人事業主の方の場合は計算方法が異なります。
下記のように、前年度の確定申告での所得をもとに算出します。
個人事業主の休業損害計算式
前年度の確定申告での所得金額÷365日×休業日数
所得を365日で割ったものを「1日あたりの基礎収入」とし、休業日数(入院日数+通院日数)をかけて計算をします。
休業日数は、医師が作成する診断書から判断されます。
通院した日以外にも自宅療養をしていた日数があるときは、示談交渉などで主張していく必要があります。
また、店舗や事務所を借りている個人事業主の方は、ケガで休業中も家賃などの支払いをストップできないのが通常です。
このような固定費も「休業損害」として請求できる可能性があります。
確定申告をしていなかった場合
万が一、前年度の確定申告を行なっていなかった場合は、「賃金センサス」(国が算出している平均賃金)を用いる、または、通帳や帳簿などで収入額を証明するなどして、休業損害の金額を計算していきます。
前年度の確定申告が赤字申告の場合
この場合も「賃金センサス」を用いて休業損害を請求していくことが可能です。
20代フリーランス男性の休業損害計算例
フリーランスの男性の休業損害の計算を、具体例を用いてご紹介します。
前年度所得300万円、休業日数80日の場合
「前年度の確定申告での所得金額÷365日×休業日数」が計算式となりますので、
300万円÷365日×80日=65万7534円
休業損害は65万7534円となります。
前年度所得450万円、固定費(家賃)月15万円、休業日数50日の場合
まず、所得の基礎収入を計算します。
450万円÷365日=1万2328円
次に固定費の基礎収入を計算します。
15万円×12ヶ月÷365日=4931円
2つの基礎収入を足し、休業日数を掛けます。
(1万2328円+4931円)×50日=86万2950円
休業損害は86万2950円となります。
「逸失利益」の計算で気をつけることは?
ケガの後遺症が残った際は、後遺障害等級の認定を受けることで、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を請求することができます。
「逸失利益」は、交通事故以前の収入をもとに、将来の収入への影響を計算して請求していくものです。

まだ開業から間も無い20代のフリーランスの方の場合は、収入が少なかったり、今後の事業拡大を見込んでいたりするケースも多くあります。
そのため、前年度の確定申告の所得ではなく、将来得られるはずだった見込みの収入が考慮される場合があります。
認定された後遺障害等級や仕事への影響なども含め、一人ひとり状況が大きく異なります。
適切な逸失利益の計算は、弁護士に相談をしながら行うようにしましょう。
交通事故後の確定申告はどうすればいい?

自営業やフリーランスの人の場合、毎年、確定申告をする必要があり、交通事故に遭った場合でも例外ではありません。
特に示談が成立するまでの期間は、「後遺障害等級」の申請、賠償金の示談交渉などの手続きが多く、確定申告も大きな負担となりがちです。
確定申告は税理士に相談をして行うのがおすすめです。確定申告による負担や不安を緩和し、ケガの治療や賠償金の請求に専念できるようにしましょう。
なお、交通事故被害で受け取る慰謝料などの賠償金は非課税のため、翌年の確定申告で賠償金を所得として申告する必要はありません。
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Mr.リードからあなたへ
自営業やフリーランスの人が交通事故に遭い、仕事を休業せざるを得なくなると、その期間中は収入がゼロになってしまいます。これは、今後生活をしていく上で大きな打撃となってしまいますので、「休業損害」や「逸失利益」などを適切に請求していくことが大切です。
ミスターリードの「交通事故診断」では、賠償金の相談ができる弁護士だけでなく、確定申告の相談ができる税理士もご案内しています。個人事業主の人に必要な専門家をまとめて探すことができますので、ぜひお気軽にご活用くださいね。
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